商品詳情
『 吉川龍 ―手のひらの虹色― 』
CODE:9784763025180
CODE:9784763025180
日本發售日:2025年11月10日
絵を描かなくても生きていける。
そういう道を歩かないと決めた。
画家・吉川龍、待望の初画集。
本書は、東京藝術大学の卒業制作から最新作に至るまで約70点を収録し、四つの章立てでその軌跡をたどります。
紆余曲折を経て変化を重ねた人生と作風を、作家自身の言葉とともに辿る、他に類を見ない一冊です。
本書の特徴は、美術評論家の解説や外部の視点をあえて排し、作品解説をすべて吉川本人が手がけている点にあります。さらに、対談の相手には同世代であり深い敬意を抱く彫刻家・大森暁生を迎え、創作の核心を率直に語り合いました。
常に自らの足元を正直に見つめ、作品を通して「生きること」そのものに迫ろうとする姿勢が全編に貫かれています。
第一章では、卒業制作とともに、吉川が全力を傾けた初期の〈ボクサー・シリーズ〉を紹介。プロボクサーの資格を取得するほど打ち込み、「これ以上は描けない」という極限まで自らを追い込んだ作品群は、苦悩と葛藤の記録です。
第二章は、画壇デビューを決定づけた〈シルエット・シリーズ〉の誕生と、昭和会展優秀賞受賞の時期。スタイルを確立したものの、なお内面的な格闘は続いていました。
第三章では、2008年から2019年まで、〈シルエット・シリーズ〉が多彩に展開していく変遷を追い、その広がりと深化を明らかにします。
第四章は、2020年以降、コロナ禍に直面し、実家のある益子町が甚大な被害を受けるなか、吉川が絵画に託した思いとは何だったのかを示唆します。今年春に奉納された長崎・本経寺の襖絵を初公開するとともに、新たに歩み始めた最新シリーズも収録。未来へ向かう表現の現在地がここに刻まれます。
巻末には、大森暁生との対談「光と影が交叉する先の、新たな世界へ」を収録。初期作から新シリーズまでの作風の変遷、隠されたテーマや素材へのこだわり、そして画家として生きる理由や未来のヴィジョンまで、大森ならではの感性で深く掘り下げています。異なる領域でありながら響き合う二人の対話は、本書にしか収められない貴重な記録です。
「手のひらの虹色」――タイトルに込められたのは、儚くも確かに存在する光をつかみ取ろうとする思い。
吉川龍の画業を総覧する本書は、単なる作品集を超え、ひとりの表現者の生き様そのものを映し出す画集です。
<目次>
はじめに/吉川龍
第1章 1997~2002前半
卒業制作からボクサーシリーズ誕生まで
第2章 2002後半~2007
シルエットシリーズ誕生、昭和会展での受賞
第3章 2008~2019
画壇デビューとシルエットシリーズの変化
第4章 2020~2025
コロナ禍、本経寺襖絵制作、NEWシリーズ誕生
対談「光と影が交叉する先の、新たな世界へ」/大森暁生×吉川龍
Colum「本、音楽、お酒とのコラボレーション」
作品リスト
年譜
あとがき/吉川龍
著/吉川龍
297×210mm 並製本 132頁(図版110点)
